主催:神戸大学国際コミュニケーションセンター
協賛:日本音声学会OJAD (Online Japanese Accent Dictionary) は,国立国語研究所からの支援を受けて開発された,日本語の韻律教育を強力に支援するオンライン日本語アクセント辞書です。「日本語らしく自然に聞こえる発音を身に付けたい」と考える学習者は多い一方で,音声教育,とりわけ韻律教育の教材は十分には提供されていません。教師からは「イントネーションってよく分らない」「東京方言アクセントを教える自信がない」「活用後のアクセントは辞書で調べるのも大変」という声を聞きます。これらを解決するために開発されたのが OJAD です。 こちらからアクセスでき,無償で提供されています。Facebook page もございます。1分間のプロモーションビデオ(日本語版/英語版)もございます。また,日本音声学会より学術研究奨励賞を受賞しています。
これまで国内外40都市以上で,約4時間に渡る OJAD 講習会を開催してきました。下記に示す通り,12/14(日)に神戸大学にて OJAD 講習会を開催致しますので,日本語教育関係者の皆様は是非ともご参加下さい。なお,前日に音声学会主催の音声学入門講座「日本語教師のための音声指導入門」も開催されます。両方を受講されることをお勧めします。
日時:12月14日(日)13:30〜16:30(予定)
場所:神戸大学国際文化学研究科(鶴甲第1キャンパスD-615教室)
アクセスマップ/キャンパスマップ
演題:「OJAD とそれを用いた音声指導」
講師:峯松信明先生(東京大学大学院工学系研究科・教授)
中村則子先生(東京外国語大学・非常勤講師)
世話役:朱春躍先生(神戸大学国際コミュニケーションセンター・教授)
参加費:無料(音声学会非会員の方も無料)。
D-615教室は CALL 教室(定員48名)ですので,PC をご持参して戴く必要はありません。
但し,定員を超える参加申込があった場合,大教室に移動する可能性があります。その場合は,ノートPCあるいはタブレット端末を持参して戴くことになります。
配布資料:以下のいずれかを印字してご持参下さい。内容はいずれも同じです。
スライド資料(1頁/枚),スライド資料(2頁/枚),スライド資料(4頁/枚)
申込:メールにてのみ申し受けます。メール1通につき1名でお願いいたします。
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To:devozione444 [at] yahoo.co.jp (大山理惠,[at] を @ に変えてお使いください)
Subject:OJAD講習会申込み (12/14 SOLAC)
メール本文に以下の内容をご記入ください。
1) お名前(よみがな),2) ご所属,3)メールアドレス
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メール送信から3日以上経過しても返信がない場合には、お手数ですが再度ご連絡ください。
件名(subject)が正しくないメールは申込処理されない場合がありますのでご注意ください。
定員(48名)になり次第,締め切りますが,場合によっては大教室で開催する可能性があります。
以下,OJAD が提供する機能,及び,OJAD 講習会について説明します。OJAD は以下の4つの機能を提供します。
- 単語を指定してアクセントを検索する機能
一般の電子化辞書が提供するようなアクセント検索ではなく,用言であればその活用形に伴うアクセント変形,更にはアクセントの揺れにまで対応してアクセントを視覚的,聴覚的,網羅的に表示します。また,代表的な教科書十数冊に完全準拠しており,「ある教科書の第15課〜第18課に初出する旧能力試験の1級相当の動詞を全て,活用に伴うピッチパターンの変化を考慮して呈示する」などが容易に可能です。
- 動詞の後続語を指定してアクセントを検索する機能
第一の機能では,用言の活用は基本12活用のみを考慮していますが,実際には「食べようとしたのだが」のように,様々な活用語尾が接続します。この機能では,ある中級教科書に登場した全ての(用言の)後続語330種類に対し,これらが(ユーザが入力した)任意の動詞に対して接続された場合,どのようなアクセントとなるのかを視覚的に示すことが可能です。- 任意テキストから用言を自動抽出し,活用に伴うアクセント変形を表示する機能
第一,第二の機能は幾つかの教科書に準拠する形で構成されています。逆に言えば,教科書に出現しないパターンには対応できません。本機能は任意の日本語テキスト(web 上の任意テキスト)をコピー&ペーストして「実行」ボタンをクリックするだけで,そのテキスト中の全ての用言を自動抽出し,それらが活用した場合(12基本活用)のアクセントの様子を視覚的に,表にして示すことができます。- 任意テキストに対して(例えば読み上げ原稿),適切なイントネーション+アクセントパターンを視覚呈示し,また,合成音声による聴覚呈示を行う機能
読み上げ原稿に平仮名が付与されていても,それを適切に読み上げることは難しいものです。アクセントやイントネーションの韻律情報,どの母音は無声化すべきなのか,句読点以外にどこでポーズを置くべきなのか,などの音声情報が欠落しているからです。母語話者はこれらの情報を無意識的に処理して適切に読みますが,学習者はそれが困難となります。本機能は,任意のテキスト(例えば読み上げ原稿)に対して,アクセントやイントネーション,更には無声化マークを自動付与することができます。日本語のアクセントは前後コンテキストによって変形しますが,変形後のアクセントを呈示します。更には,音声合成を行ない,音声化することもできます。有能な読み上げ韻律チュータです。
上記4機能についてのより詳細な文献としては,国語研プロジェクトレビューとしてまとめた文書があります。
講習会の内容ですが,OJAD の機能や授業での使い方を示す前に,そもそも日本語のアクセントとは何か,日本語のイントネーションとは何か,という基礎知識についても提供しています。 下記のようなメニューとなっています。
- 最近,上手に喋るようになったパソコン君。どうやって「読み上げ術」を学んでいるのか?
- 日本語アクセントに関する基礎知識。アクセント結合とは,アクセント句とは?
- 日本人って,アクセントに敏感なの?鈍感なの?ある聴取実験が示す事実。
- 日本語イントネーションに関する基礎知識。聞き取りやすい読み上げに至る最短経路とは?
- 使ってみよう OJAD。OJAD 4機能のご紹介。
- OJAD を使ったオーラル・プレゼンテーション指導の実例紹介
- OJAD を使ったアクセント導入の実例紹介
OJAD を使った初級からの韻律教育に関しては,プロジェクトメンバーが執筆した報告書もございます。上に示した国語研プロジェクトレビューにも,講習会の様子が一部示されています。
世界中の日本語教育機関で講習会を行って参りました。いずれの講習会も好評で,また,英語,インドネシア語,韓国語,中国語(簡体字),中国語(繁体字),ベトナム語,ドイツ語,ロシア語,タイ語に翻訳されるなど(現在,スペイン語,フランス語,ポーランド語,マレー語の翻訳作業が進んでいます),OJAD は世界中で利用される音声教育インフラとなっています。是非とも今回の機会をお見逃しの無いよう,お願い申し上げます。