内田秀継の研究のページ

調音観測システムの開発

調音運動と調音観測システム

音声の「あ」とか「い」といった文字の違いは、発話中の舌や唇の動きの違いによって作られます。この発話中の舌や唇の動きを調音運動と言います。つまり調音運動は、音声に言語情報を与える役目を担っており、その特性を明らかにすることは音声の生成過程を解明する上で重要となります。しかし、舌の運動や軟口蓋の運動は、口の中に隠れているためビデオカメラなどで外部から測定することが難しいです。そこで、調音運動を測定するために様々な調音観測システムが研究されています。

磁気センサシステム(EMA)

磁気センサシステム(ElectroMagnetic Articulograph:EMA)は、電磁誘導の原理を利用した調音観測システムです。EMAは、磁界を発生させる送信コイルと、話者の舌や口唇に取り付ける小型の受信コイルの2種類のコイルによって構成されています。話者の頭部を囲むように幾つかの送信コイルを設置し、そこから交流磁界を発生させます。舌や口唇に取り付けられた受信コイルでは、送信コイルから発生した磁界を受けて誘導起電力が生じ、それが受信信号となって計測されます。受信信号は受信コイルの位置に依存したパターンを持っているので、受信信号を解析することで、受信コイルの位置を推定することができます。受信コイルの位置が推定されれば、その受信コイルが取り付けられた舌や口唇の運動を知ることができます。磁気センサシステムの優れた点として、高時間分解能・高空間分解能を有すること、非侵襲的であること、測定の際にノイズ音がなく音声との同時計測が可能であることが挙げられます。